ルーツは戦国時代の軍旗にあり
のぼり(幟)の起源は弥生時代とも平安時代とも言われていますが、
広く普及するようになったのは戦国時代で、合戦の最中に敵味方を
区別する目印として使われました。
それが時代が下るにしたがってお店の看板代わりに利用されるようになり、
今日見られるような使い方が定着しました。
つまりのぼりは日本独自の文化であり、海外ではあまり例を見ないものです。
実際、わが国を訪れる外国人観光客の目には、路傍にたくさんののぼり旗が
風になびいている光景はかなりエキゾチックなものに映るらしく、
熱心にカメラに収めようとしている姿をよく見かけます。
なぜのぼりが日本以外の国で普及しなかったのかという理由は
定かではありませんが、その原因の1つとして考えられるのは文字文化です。
漢字や平仮名、片仮名といった日本の文字は縦書き・横書きどちらにも
対応しますが、海外で使われるアルファベットやアラビア文字などは
基本的に横書きのみです。
そのため、縦長の旗の表面に文字を記すとどうしても読みづらくなってしまい、
「遠くからでも目立つ」という目的を十分に達することができません、
そのため、のぼり文化はもっぱら日本国内にのみとどまったものと考えられています。
掲示の仕方に内外の違いを見る
それでは、海外には旗文化そのものが存在しなかったのかというと、
もちろんそんなことはありません。
遠く離れた船同士でメッセージをやり取りする信号旗などは万国共通ですし、
そもそも国旗自体が西洋由来のものです。
日本ののぼり旗のように、お店の入り口などに掲げられて看板代わりの
役目を果たしているものもあります。ただ、縦長ののぼり旗とは形が異なります。
商業施設などの目印として欧米諸国でよく使われている旗は、バナーと言います。
インターネットのウェブページに貼られる小さな広告にも同じ名称が
使われていることから、何となく横長のものというイメージがありますが、
もともとは貴族の紋章などを掲げた正方形の旗でした。
現在では細かな規定などはありませんが、やはり正方形に近いものがよく見られます。
バナーの用途自体は日本ののぼり旗とだいたい同じで、やはり店名や
取り扱っている商品などを掲げ、目立つように工夫されています。
しかし、使い方に違いがあります。のぼり旗は床や路上などに支持台を置き、
そこに竿を差して立てるのに対し、バナーは建物の壁から斜め上方に、
あるいは地面と水平にポールを取り付け、そこから垂らすように
掲げるというスタイルが一般的です。
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